準備編からの続き…
夜8時半 空気は少しひんやりし風もない。薄赤い光の懐中電灯で探りながら音を立てないように巣に近づく。蜂が動き出す気配は無い。70センチまで近づいた。チャンスだ。
スプレーの安全ピンを抜き取手を握り巣穴に向かい発射! 相当な勢い 風圧だ。なにしろスプレーの到達距離は12メートル。1箇所だけの巣穴に、この距離 勢いで噴射すれば巣から奴らは出てこれないだろう。30秒 噴射。スプレーが空になり静寂が訪れ耳を澄ます。巣からは何やらモゾモゾした音が聞こえるが羽ばたく音は無い。結局一匹も飛んでこなかった。完勝だ!拍子抜けだがヨッシャと雄叫びをあげる。
2週間情報収集し、昼から夜にかけて巣をよく観察したのが勝因か。大きな達成感を得、実家に引揚げ、防護服を脱ぎくつろぐ。暫く震えが止まらない。やるかやらないか相談していた妹にヤッタとLINEした。
だがまだ巣の撤去 後片付けがある。やっつけても巣がそのままでは、役場からまた電話が来てしまうかもしれない。20分休憩しゴルフクラブと火ばさみを持ち軽装で巣の撤去に向かう。やはり蜂は飛んでいない。木の枝から巣を叩き落とし、火ばさみで挟む。巣は見た目より軽く紙でできているようだ。挟むともろく崩れ、中身が見えた。たくさんのスズメバチと白い幼虫( 蜂の子 食べると美味しいそうだ)。たくさんの無垢な幼虫を見たときは少し罪悪感を覚えた。幼虫には罪は無いなぁ。 とにかく巣をゴミ袋に入れて後処理も完了。
過剰な表現だが人生でベスト3に入る命を懸けた冒険だった。なぜやったか?
3万円が惜しかったのもあるが、状況分析の結果やれる気がした、やったら達成感が得られる、今後の人生での自信が得られる、話のネタになる そんなところか。
危ないから子供は真似しないでね。